以前私がしていた販売の仕事で、売上全国1位になったお話しをします。
私は5年前まで、歯科医院向け「患者管理ソフト」の販売をしていました。
ある時、知り合いの歯科医院の店舗設計士さんから
「近藤君、面白いソフトがあるから見に行かないか?」
と言われ、岐阜県まで行ったのが事の始まりでした。
そのソフトは、患者さんの口腔内の写真や歯式を管理するソフトだったんです。
たまたまMacで開発していたソフトであり、私もその頃これといった仕事をしていなかったこともあり、帰りにその設計士さんから一緒に販売してみないか?
と聞かれた時に、二つ返事で「やりましょう!」と、言ったのを覚えています。
「営業はボクがするから、近藤君はコンピュータの説明をしてね」 と言われ、暗に営業は全くしなくて良いよ・・・みたいに受け取っていました。
特に、歯医者さん相手に営業なんて私には出来ないと思っていましたから(*^_^*)
それから数ヶ月、その設計士さんは歯医者さんのアポは取ってくれるのですが、
二人で医院に行くと、彼は世間話ばかり・・・
先生には、2時間位説明の時間を取って頂いていたのですが、 (予定ではMacのセットアップ30分、デモ1時間、クロージング30分)
汗だくになって1時間必死にソフトの凄いところ(と、思っていた)を話して・・・
それで終わり(-_-;) ハイ、ご苦労さん。
みたいな、営業を3ヶ月位続けていました。
中には、付き合いで買ってくれた先生もいましたが、 (128万円もするソフトだったんですよ(;_;)
いよいよ、営業に行き詰まってきました。
しばらくして、ある人に
「物を売ろうとしていないか? そんなことではダメ!困っていることを解決してあげなさい!」
と、言われました。
それを聞いた時に私は
「相手は歯医者さんですよ!困っていることなんてないでしょ!」
と、心の中で思っていました。
その頃には行き違いで前述の設計士さんとはパートナーを解消していて、アルバイトの男の子と二人で「あ〜でもない、こ〜でもない」と、
デモの練習をしていました。
ある日、やっと取れたアポの医院でおもいきって先生に聞いてみたんです。
「先生、何か困った事ってないですか?」
自分でもばかげた質問をしたと思っていたんですが、ところがビックリ!
「最近患者さんが減ってきて営業が苦しいんだよ・・・」
と、先生から言われた時にはそれこそ「目からウロコ」状態でした!
帰ってよく調べてみると、歯医者さんの数ってコンビニより沢山有るんですって!
たしかに、街中を見回してみると歯医者さんだらけ・・・
地方に行ってもこんな所にもあるんだ・・・
状態でした。
歯科医師というのは普通、5年の歯科大学を卒業してどこかの歯科医院で勤務医として働きます。
何年か後、開業資金がある先生は独立開業をするわけです。
しかし、ここで考えられるのは歯科医師は一度たりとも経営の勉強はしていないのですよね。
大学時代からずっと歯の事ばかりを勉強してきます。
勤めた歯科医院の院長も決して優秀な経営者かどうかは解りません。
開業セミナーに出ても、実際に効果のある集客などは教えてくれません。
また、歯科医師の皆さんは本当に勉強が好きみたいです。 (もちろん遊ぶのはそれ以上かも知れませんが(^_^;)失礼・・・)
週に1・2回、スタディグループという勉強会に参加されている方が多いです。
まだここでも歯のことを勉強しているんですね。(それはそれで必要ですが)
歯科医師はある意味職人さんだと思います。
一生懸命自分の腕を磨いていく。
経営? そんなものは経理士さんか奥さんに任せておけばいい・・・
そんな方がほとんどでした。
昔はこれで良かったんですよね。
歯科医院の数が、過剰じゃなかったころは・・・
経理士さんに大事な自分の医院の経営を任せていいんですか?
素人の奥さんが経営のこと解るんですか?
ある時私は一人の先生にその先生が主催するスタディグループに誘われました。
この先生に口の中を見てもらうと500万掛かる・・・
といわれる位、売れている(^^) 先生なんです。
その勉強会で私は、ハッとしました。
勿論インプラント治療などの専門的な話もされたのですが、その先生が
「ここは大事だよ!」と言って、話されたことが私の営業方法を根本から変えることになったのです。
そのスタディグループ主催のY先生は、
「その患者さんの口腔内の情報を解りやすく、写真や図を使って説明しなさい」と、おっしゃったんです。
今まであなたは歯科医院に行った時に、そこの先生からどの様な説明を受けられました?
私は、まずレントゲン写真を撮られてそれを見せて貰いながら説明をされていました。(ほとんどの歯科医院がそうだと思います)
しかし、レントゲン写真なんかあまり見たことのないので、よく解らないし、なおさら先生はマスクをしているのであまり言葉も聞き取りにくかったことを覚えています。
で、先生が言うことを解ったフリをしていたんですね(-_-;)
ここで3つ大きな問題があります。
1つめは、あなたは自分の顔というのはふだん鏡で見ますよね?
という事は、いつもあなたが見ている顔は鏡像なんです。
しかし、レントゲン写真は実像で見せられるので、
えっ、右の奥歯? 左の? 状態になってしまうのです。
2つは、歯科医院のチェアーに座っている時の貴方の精神状態はどうでしょうか?
落ち着いてリラックスしています?
寝てしまいそうな位心地良いですか?
90%以上の人が、イヤで、怖くて、早くここから降りたい!
と、思っているんではないでしょうか?
そんな気持ちの時にマスク越しに説明をされても理解しようとしない。
聞く姿勢になっていないのに、話をしても無駄なんです。
最後に、これが一番大事なんですが、患者さんが「ハイ、ハイ」と返事をするので先生は解ってもらえていると、勘違いしていることです。
するとどういう事になるのか?
患者さんは、治療途中で来なくなってしまうのです!
ある統計によると、途中で治療をやめてしまう患者さんは治療を受けている全体の30%を超えるとの事!
自分の歯の状態が、仮歯なのかどうかも解らずに・・・
その状態だとしばらくは持ちますが、やがてドンドン悪くなっていく(^_^;)
でも途中で治療に行かなくなってバツが悪いので、今度行く時は違う歯科医院に行こうとする。
あなたは、どうですか?
歯が悪くなると、色々なところに悪影響を及ぼしてきます。
歯が痛んで仕事に集中できない・・・
食べ物が美味しくない・・・
口臭がして、人前で話をしたくない・・・
歯周病菌は体のあらゆる細胞に悪影響を及ぼす・・・
・ ・ ・ ・ ・
解ってはいるけど、ついガマンして歯医者に行かない(-_-;)
これは、実は患者さんのせいだけではないんです。
実は、歯医者さんにも責任があるんです。
「インフォームドコンセント」
単に説明すりゃいいって、じゃないんです。
患者さんの理解が必要なんです。
「患者さんはハイって言いました!」
と先生方は言いますが、うすうす知っているんです。
患者さんは理解していないという事を!
ごめんなさい、歯科医の先生方を責めているんではないです。
前述のY先生は、こういったお話しをされました。
この話のどこに、私が飛躍的に患者管理ソフトの売上を伸ばした秘密が隠されているのでしょう?
私の営業の仕方をもう一度思い返してみると・・・
とりあえず一生懸命ソフトの良い所ばかりを説明していた。
何故このソフトが素晴らしいのか、開発秘話とかも交えて説明した。
WinよりもMacの方が簡単ですよ etc...
ここで勘のいいあなたなら解ったと思います。
そうですね。
その歯科医院が抱えている問題解決には一言も触れていなかったのです。
勿論歯医者さんが困っているなんて思いも寄らなかったのですから・・・
そこで私は、ある日思いきって先生に聞いてみることにしたんです。
私 「院長先生、最近新規の患者さん増えてます?」
先生「まあまあだね。」
私 「先生のところはあまり途中離脱の患者さんはいないですよね?」
先生「・・・・・」
私 「実は、Y先生の勉強会でこんな事を聞いてしまったんです!」
私 「かくかくしかじか・・・・・・・・・・」
先生「えっ!」
ここから、先生の態度が激変しました。
ついに、デモの前段階で先生の心をつかんだんですね!
あとは、もうこっちの物。
私 「患者さんにとってレントゲン写真は・・・・・・・・・・」
私 「チェアーから降りてここのスペースで・・・・・・・・・」
私 「このプリントアウトしたものを・・・・・・・・・」
私 「すると帰りに患者さんは・・・・・・・・・」
ここまで来ると、先生は具体的にイメージし始めるんですね!
日々の診療で、このソフトをどの様に使っていけばいいのかが!
すると質問も沢山出てきます。
先生「うちの衛生士さんでも使えるの?」
先生「それをそうすると保険点数はどうなるの?」
先生「リースにすると月々いくら位?」
あとは、導入時の問題点を潰していくだけの作業です。
最後には、「有り難う!」と言って送り出してくれました。
数日後、この先生から納品の日時を決める連絡があったのは、言うまでもありませんね(^_^)
今までこのソフトの成約率は全国平均で、アポが取れた後5〜10%でした。
それが私がこの営業法を身に付けると、なんと35〜40%にアップしたのです。
もう一度、どの様に営業方法を変えていったのか整理します。
アポを取るのは、部下にしてもらいました。 (勿論何度もロールプレーニングを経験させてから)
「全国820人の先生にお会いしてきた、当社の近藤と一緒にお伺い致します」と。
まず、先生にアポの日を期待してもらう訳なんです。
「へ〜、どんなスゴイ人が来るんだろう?」
デモの時は必ず二人で行きます。
セットアップ等雑用が沢山ありますので、時間を無駄にしないためです。
挨拶の後、単刀直入に切り出します。(アポ取りの時に期待を持たせている)
「先生、なにか困っていることは有りませんか?」
「今まで私がお会いした多くの先生方はこんな悩みをお持ちでした」
ここで前記の例などを出すわけですが、勿論全ての医院の悩みが同じとは限りません。
衛生士さんが思うように働いてくれない!
自分は技術には自信があるが、話をするのが苦手!
お金のことは税理士さん・奥さんに任せているので自分は解らない!
等々・・・きりがない位出てきます。
案外、なんて事は無いようなことが多いのですが(^_^;)
大体ビジネス書を2〜3冊読んでおけば、答えに困ることはありません。
人というものは、中々言えなかった事を話してしまうと、急に心が開いてしまうんですね。
後は、ソフトの使い方に絡めて先生の悩みに答えを出していきました。
すると、このソフトと自分の悩みがリンクしてくるんですね。
このソフトを使うと自分が悩んでいたことが軽減されると・・・
○商談を成功させるコツ
1)人は少なからず悩みを持っています。
まず、悩みを話して貰えるように環境作りをします。 合う前に期待を抱かせる・ある人はこんな悩みを私に話してくれましたetc.
2)売る物自身の説明は最後の最後。
その悩みに対して、誠心誠意答えを出していきます。 ある人の体験談・ビジネス書からの引用・自分だったらこう思うetc. すると、相手の目の輝きが変わってくるのが解ります。 そこで始めて、売りたい物の説明を絡めていくわけです。
3)ダメかなと思ったら引き際も大事!
相手の心が開いていないのに、一生懸命営業をしても無駄です。 そんな時は、さっさと引き上げましょう。 「先生、またお会いできる時を楽しみにしています!」と。 案外そうすることによって、相手は後ろ髪を引かれるんです。 すると、次回に繋がる可能性も出てきますよね。